メモアプリ5回乗り換えたエンジニアがObsidian+AI連携に落ち着くまでの話
Notion・Logseq・Craftと渡り歩いて「あのメモどこだっけ」に何度も悩んだ末、たどり着いた2026年版の知識管理スタック。同じ迷子になった人に届けたい正直レポート。
メモアプリを5回乗り換えたエンジニアが、ようやく「ここで落ち着く」と思えるスタックに辿り着いた。そんな話を書いておきたい。
2年前、チームで「ドキュメント文化を作ろう」という話が出て、Notionに全力移行した。最初の3ヶ月は良かった。でも半年経つと「あのメモどこだっけ」が日常になり、検索するより聞いた方が早いという本末転倒な状態に陥った。その後Logseq、Roam Research、Craft、Capacitiesと転々として、2026年春時点で個人用はObsidian+AI連携、チーム共有はCraft+Confluenceのハイブリッドに落ち着いている。
正直まだ完璧じゃないし、ここは好み分かれると思う。でも「なんでそう選んだか」を記録しておかないと同じ失敗を繰り返すので、自分への備忘録も兼ねて書く。
2026年時点の主要メモアプリ、本音で比べてみた
まず状況整理。各アプリの特徴を自分が使った感覚でまとめると、こんな感じになった。
| アプリ | 強み | 弱み | 2026年の変化点 |
|---|---|---|---|
| Notion | チーム共有・DB機能 | 動作が重い・検索精度 | AI機能強化(Notion AI 2.0) |
| Obsidian | ローカル保存・拡張性・Vault設計 | 同期に課金必要・学習コスト | Copilot連携プラグイン成熟 |
| Craft | デザイン・iOS連携 | カスタマイズ限界 | AI要約・Web公開機能追加 |
| Logseq | アウトライナー・双方向リンク | 動作不安定・DB版移行 | DB版正式リリース(2025年末) |
| Capacities | オブジェクト指向メモ | 比較的新しい・高価 | AI整理機能追加 |
| mem.ai | AI検索特化 | テキスト以外弱い | GPT-4o統合 |
NotionのAI 2.0は確かに便利になった。「このページを要約して」「関連ドキュメントを探して」が自然言語で動く。ただ、うちのチームのNotionは2年分のゴミが積み重なっていて、AIが見つけてくるのも古い情報だったりする。ツールより運用の問題なんだけど、これが一番しんどかった。
LogseqのDB版は2025年末に正式リリースされて、ようやく安定してきた。アウトライナー型でデイリーノートにバンバン書く人には本当に合っていると思う。ただ個人的には「ページとブロックの二層構造」にどうしても馴染めなかった。
個人の知識管理に結局Obsidianを選んだ理由
Obsidianに落ち着いた一番の理由は「データが自分のものだから」に尽きる。Markdownファイルがローカルにあって、Gitで管理できる。サービスが終了しても困らない。エンジニアとして、自分の知識ベースを他社のDBに依存したくないという感覚がずっとあった。
2026年現在、Obsidianで使っているプラグインはこんな感じ:
# ~/.obsidian/plugins/ 配下(主要なもの)
obsidian-copilot # OpenAI/Claude API連携でチャット・要約
obsidian-smart-connections # ローカルEmbeddingで類似ノート自動発見
calendar # デイリーノート管理
tasks # タスク管理(GTD的な使い方)
dataview # ノートをDB的にクエリ
templater # テンプレート自動化
git # Gitで自動バックアップ
特にobsidian-smart-connectionsは地味に便利。ローカルでEmbeddingを計算して、今書いているノートに関連する過去メモを右パネルに出してくれる。外部APIを使わないのでコストゼロ、プライバシーも問題なし。「あのメモどこだっけ」問題がかなり解消した。
Copilotプラグインの設定はこんな感じで使っている:
# Copilotプラグイン設定例(settings.json抜粋)
{
"defaultModel": "claude-3-5-sonnet-20241022",
"defaultEmbeddingModel": "text-embedding-3-small",
"autosaveChat": true,
"contextWindowTokens": 128000,
"qaExclusions": "Templates/,Archive/",
"indexVaultToVectorStore": "ON_STARTUP"
}
これで「このVault内の情報をもとに質問に答えて」というRAG的な使い方ができる。精度はNotionのAIと大差ないけど、自分のローカルデータだけを参照してくれるのが安心感ある。
ちなみに、プロンプト設計についてはチームで構造化の話を整理したことがあって、メモアプリのAI活用でも同じ考え方が使えた。テンプレートに質問の型を埋め込んでおくと、AIへの投げ方がブレなくなる。
Vault設計:最初に決めておかないと後悔する
一番最初に失敗したのがVaultの構造設計だった。何も考えずに使い始めて3ヶ月後にリセットする羽目になった経験、ここだけは強く言っておきたい。今使っているフォルダ構成はこれ:
main-vault/
├── 00_Inbox/ # 取り込みバッファ(週次でレビューして移動)
├── 10_Projects/ # 進行中プロジェクト(完了したら30へ)
├── 20_Areas/ # 継続的な関心領域(技術・キャリア・健康など)
├── 30_Resources/ # 技術ノート・読書メモ・リファレンス
├── 40_Archive/ # 完了・非アクティブ
├── 50_Templates/ # テンプレート置き場
└── Daily/ # デイリーノート(自動生成)
Johnny Decimal的な番号体制はやや古い考え方かもしれないけど、Dataviewでクエリするときにpathフィルタが書きやすいので続けている。「PARA方式(Projects/Areas/Resources/Archives)」を参考にしたのが今の構造の元。
デイリーノートのテンプレートはこんな感じ:
---
date: {{date}}
type: daily
tags: [daily]
---
## 今日のTODO
- [ ]
## 気づき・学び
## ブロッカー・困ってること
## 明日に持ち越し
「ブロッカー・困ってること」を毎日書くようにしたら、週次レビューで「この問題を1週間引きずってる」が可視化されるようになった。これは本当に効いた。
フローとしてはこんなイメージで運用している:
flowchart LR
A[思いついたこと・読んだもの] --> B[00_Inbox]
B --> C{週次レビュー}
C -->|プロジェクト関連| D[10_Projects]
C -->|継続的なテーマ| E[20_Areas]
C -->|参考資料| F[30_Resources]
C -->|完了・不要| G[40_Archive]
D --> H[双方向リンク・タグで連結]
E --> H
F --> H
H --> I[Smart Connectionsで類似ノート発見]
I --> J[Copilot AIで質問・要約]
チーム共有はCraft+Confluenceのハイブリッドに落ち着いた
個人の知識管理とチーム共有は分けた方がいい——これが3年使い倒してわかった結論。「全部Notionで」とか「全部Confluenceで」とやると、どっちも中途半端になる。個人が自由に試行錯誤できる領域と、チームで永続的に参照する領域は、そもそも求められるものが違う。
うちのチームの現在の構成:
flowchart TB
subgraph 個人[個人の知識管理]
OB[Obsidian Vault]
AI[Copilot/Smart Connections]
OB <--> AI
end
subgraph チーム[チーム共有]
CR[Craft]
CF[Confluence]
CR -->|重要ドキュメントは移行| CF
end
subgraph 用途
CR -->|ミーティングメモ・速報・WIP| T1[即時共有]
CF -->|ADR・設計書・SOP| T2[永続ドキュメント]
end
OB -->|整理された知識を昇格| CR
Craftは2026年版でWeb公開+AI要約機能が追加されて、ミーティングメモを即座にチームに投げるのが楽になった。iOSアプリのUXが断トツで良くて、会議中にiPadでメモするのはCraftが一番ストレスない。
ConfluenceはAIアシスタント機能(Rovo)が成熟してきて、「このスペースの情報を検索して」がかなり使えるようになってきた。ただ月額コストが高いので、本当に重要な永続ドキュメントだけに絞るようにしている。コスパを考えると全部突っ込むのはちょっと違う気がしている。
実際の使い分けはこんな感じ:
| ユースケース | ツール | 理由 |
|---|---|---|
| 個人の技術メモ・学習ログ | Obsidian | ローカル保存・検索性 |
| 毎日の作業記録 | Obsidian(デイリーノート) | テンプレート自動化 |
| ミーティングメモ(WIP) | Craft | 即時共有・UIの良さ |
| 設計書・ADR | Confluence | 永続性・検索・承認フロー |
| チームWikiのゆるめな情報 | Craft | 更新しやすさ |
| インシデント記録 | Confluence + PagerDuty | インシデント対応の記録との連携 |
コミュニケーションツール全体については別の記事にまとめたけど、メモ・ドキュメントツールは「同期的なやりとり」と「非同期の知識蓄積」を分けて考えると整理しやすい。
AI連携の実際:何が使えて何がまだ微妙か
2026年のメモアプリAI連携で「本当に使えるな」と思っているもの、正直に書く。
使えると思っているもの:
- 会議メモの自動要約:Craftで録音連携(Otter.ai経由)→AI要約→アクションアイテム抽出。会議後10分の「議事録まとめ」作業がほぼゼロになった
- 類似ノートの発見(Smart Connections):「これ前に調べたはず」が解消される
- Vault内Q&A(Copilot):「過去にXXの問題をどう解決したか」に答えてくれる。精度は70〜80%ぐらいで、参照元ノートを表示してくれるので確認できる
- 下書き生成:テンプレートに書いた箇条書きをブログ記事の草稿に変換する用途
まだ微妙なもの:
- 自動タグ付け・自動分類:精度が安定しない。手動レビューが必要で、かえって時間がかかることもある
- 複数ノートをまたいだ要約:文脈の引き継ぎが弱く、「Aというプロジェクトについて3ヶ月分のメモをまとめて」は半分ぐらいしか拾えない
- リアルタイムの提案:書いている途中で「関連ノートはこれです」と出てくる機能、割と邪魔。設定でオフにした
個人的に「AIが整理してくれる」という期待は一回捨てた方がいいと思っている。少なくとも今の精度では、整理は人間がやった方が速い。AI検索の体感満足度はこんな感じ:
xychart-beta
title "メモAI機能の体感満足度(5点満点 / 2026年5月時点)"
x-axis ["会議要約", "類似ノート発見", "Vault Q&A", "自動分類", "下書き生成", "リアルタイム提案"]
y-axis 0 --> 5
bar [4.2, 3.8, 3.5, 2.1, 3.9, 1.8]
自動分類とリアルタイム提案のスコアを見ると一目瞭然で、現時点では「あると邪魔」レベル。AIが便利なのはあくまで「検索・要約・生成」であって、「整理」はまだ人間がやった方が速い。
まとめ
2年かけてたどり着いた現時点のベストプラクティスをまとめておく。
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個人とチームで使うツールは分ける:全部一本化しようとすると両方中途半端になる。個人=Obsidian(ローカル・Markdown)、チーム共有=CraftとConfluenceの役割分担が今のところ安定している
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Vault設計は最初に決める:PARA方式かJohnny Decimalか何か参考にして、最初にフォルダ構成を決めてしまう。後から変えるコストが想像以上に高い
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AIは「検索・要約・生成」に絞る:自動分類や自動タグ付けに期待しすぎない。現時点では人間がレビューするコストの方が高くつく
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デイリーノートは継続の鍵:完璧なメモ管理より「毎日何か書く」習慣の方が長期的に価値がある。テンプレートで入力コストを下げることが大事
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ツールより運用が9割:どのアプリも6ヶ月後には不満が出てくる。乗り換えを検討する前に「運用フローは適切か」を先に疑う
次のアクション: まず使うアプリを一本決めて、PARA方式でフォルダ構成だけ作って1ヶ月使ってみる。完璧な設計を考える前に「動かしながら改善する」が結局一番速い。
皆さんはどんなメモ管理をしていますか?チームに合うやり方がなかなか決まらないという話、本当によく聞くので、何かヒントになれば嬉しい。