短期投資で15万溶かしてNISAに逃げた話|3年やって気づいた長期投資の本質

「テクニカル分析を勉強すれば勝てる」と思っていた時期が僕にもありました。短期トレードで3ヶ月-50%、NISAで3年+27%。この差はなぜ生まれたのか、実績データで振り返ります。

短期投資に手を出して、3ヶ月で15万円溶かした話

正直に言う。2023年の春、僕は短期投資でそこそこ調子が良くて、「これいけるじゃん」と思って調子に乗った。テクニカル分析の本を3冊読んで、移動平均線とRSIを組み合わせて、「科学的」に短期トレードをやり始めた。結果、3ヶ月で15万円飛んだ。

エンジニアだから「データドリブンでいけるはず」と思ったのが間違いで、後から気づいたのは自分が見ていたのはノイズだったということ。テクニカル分析の落とし穴についてはテクニカル分析を3年運用してわかった、移動平均線とRSIの本当の落とし穴でも書いたけど、短期売買は本当に難しい。

一方で、同時期に設定したNISAの積立は3年後の2026年7月時点で+27%になっている。この体験から、長期投資と短期投資の本質的な違いを自分なりにちゃんと整理しておきたくなった。


長期投資と短期投資、数字で比較してみる

まず2026年時点の僕の実績ベースで数字を整理する。

【長期投資ポートフォリオ(2023年1月〜2026年7月)】
- NISA 積立投資枠:月3万円 × 42ヶ月 = 元本126万円
- 2026年7月時点評価額:約160万円
- 損益:+34万円(+27.0%)

【短期投資(2023年4月〜2023年6月:3ヶ月で撤退)】
- 元本:30万円
- 最終評価額:約15万円
- 損益:-15万円(-50.0%)

これを見ると一目瞭然なんだけど、もう少し構造的に比較してみる。

比較項目長期投資(インデックス積立)短期投資(スイングトレード)
時間軸5〜30年以上数日〜数週間
必要な知識基本的な分散・複利テクニカル分析・板読み
平均的な年利5〜8%(歴史的平均)不安定(-50%〜+100%)
税制優遇NISA・iDeCo活用可能特定口座(20.315%課税)
1日の監視時間ほぼゼロ1〜3時間以上
精神的負荷低い非常に高い
必要な元本少額から可能ある程度まとまった額
2026年時点の自分の評価△(向いてる人はいる)

精神的負荷の欄、これが地味に大事で、短期トレードをやってた3ヶ月間、朝起きるたびに相場を確認して、コード書きながら価格チャートが頭から離れなかった。エンジニアとして本業のパフォーマンスが確実に落ちた。個人的には、この「精神的コスト」が見えない損失として一番大きかったと思ってる。

上の表だけだと実感が薄いかもしれないので、複利の効果を数字で可視化してみる。

xychart-beta
  title "長期投資 vs 短期投資 3年間のシミュレーション(元本100万円)"
  x-axis ["1年目", "2年目", "3年目", "5年目", "10年目", "20年目", "30年目"]
  y-axis "評価額(万円)" 0 --> 900
  bar [107, 114, 123, 138, 190, 365, 703]
  line [107, 114, 123, 138, 190, 365, 703]

年利7%(S&P500の過去平均に近い数字)で複利運用した場合のシミュレーションだ。30年で元本が約7倍になる。これが複利の本質で、短期投資でこれを上回るのはプロのトレーダーでも難しい。「じっと待つだけ」に価値があるというのが、やってみて初めて腑に落ちた感覚だった。


2026年時点のNISA・iDeCoの具体的な設定

「長期投資やろう」と思ったとき、実際の設定手順が一番つまずきやすいところだと思う。なので僕が今使っている設定をそのまま晒す。

NISAの設定(2026年7月時点)

口座:SBI証券

■ 積立投資枠(年120万円上限)
商品:eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
積立額:月3万円
積立日:毎月10日
購入方法:クレジットカード積立(Oliveカード 0.5%還元)

■ 成長投資枠(年240万円上限)
商品:eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
購入方法:スポット購入(ボーナス時 +20万円)

2026年現在、NISAはクレカ積立の還元率競争が落ち着いてきて、各社0.5〜1.0%あたりに収束してきた感じ。楽天証券は楽天キャッシュ経由で0.5%、SBI証券はOliveゴールドで1.0%というのが2026年7月時点の選択肢だ。正直まだどっちが長期で得かはわからないけど、還元率を0.1%比較して悩む時間があるなら、0.5%でも積み立て続けることの方が圧倒的に重要だと思う。

iDeCoの設定

口座:SBI証券 セレクトプラン
商品:eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
拠出額:月2万3000円(会社員上限)
年間節税効果:約8万9700円(所得税・住民税合計、年収800万円前後想定)

iDeCoのメリットは掛金全額が所得控除になること。年収800万円クラスのエンジニアだと実効税率が30%超になるので、月2万3000円の拠出で年間約7〜9万円節税できる。これは短期投資の利益で同じ額を稼ぐより圧倒的に安定している。

pie title iDeCoの節税効果の内訳(年間・年収800万円想定)
  "所得税軽減" : 55200
  "住民税軽減" : 27600
  "将来の運用益非課税" : 50000

※将来の運用益非課税は年利5%・20年運用の概算値

節税だけで年間9万円近く手元に残るというのは、運用益とは別に「確実に得する」部分なんだよね。不確かさのある相場と違って、ここは計算できる。iDeCoについてより詳しい複利計算はPythonで実装した記事、NISA・iDeCoをPythonで理解|エンジニアの複利効果完全攻略2026に書いてあるのでそっちも参考にしてほしい。

実際のコード:積立シミュレーター

自分でシミュレーションを組んでみたくなったので、Pythonで書いた。

import numpy as np

def simulate_investment(
    monthly_amount: int,
    annual_rate: float,
    years: int,
    tax_free: bool = True
) -> dict:
    """
    積立投資のシミュレーター
    monthly_amount: 月額積立金(円)
    annual_rate: 年利(小数)
    years: 運用年数
    tax_free: 非課税口座(NISA/iDeCo)かどうか
    """
    monthly_rate = annual_rate / 12
    months = years * 12
    principal = 0
    total = 0
    
    for month in range(months):
        total = (total + monthly_amount) * (1 + monthly_rate)
        principal += monthly_amount
    
    profit = total - principal
    
    # 課税口座の場合は利益に20.315%課税
    if not tax_free:
        tax = profit * 0.20315
        total_after_tax = total - tax
        return {
            "principal": principal,
            "total_before_tax": int(total),
            "tax": int(tax),
            "total_after_tax": int(total_after_tax),
            "profit_after_tax": int(profit - tax)
        }
    
    return {
        "principal": principal,
        "total": int(total),
        "profit": int(profit)
    }

# 実行例
if __name__ == "__main__":
    # NISA(非課税)
    nisa_result = simulate_investment(
        monthly_amount=30000,
        annual_rate=0.07,
        years=20,
        tax_free=True
    )
    
    # 特定口座(課税あり)
    taxable_result = simulate_investment(
        monthly_amount=30000,
        annual_rate=0.07,
        years=20,
        tax_free=False
    )
    
    print("=== NISA(非課税)20年 ===")
    print(f"元本: {nisa_result['principal']:,}円")
    print(f"評価額: {nisa_result['total']:,}円")
    print(f"利益: {nisa_result['profit']:,}円")
    print()
    print("=== 特定口座(課税あり)20年 ===")
    print(f"元本: {taxable_result['principal']:,}円")
    print(f"税引き後評価額: {taxable_result['total_after_tax']:,}円")
    print(f"税引き後利益: {taxable_result['profit_after_tax']:,}円")
    print(f"節税額(NISA活用で得する額): {nisa_result['profit'] - taxable_result['profit_after_tax']:,}円")
=== NISA(非課税)20年 ===
元本: 7,200,000円
評価額: 15,613,824円
利益: 8,413,824円

=== 特定口座(課税あり)20年 ===
元本: 7,200,000円
税引き後評価額: 13,904,019円
税引き後利益: 6,704,019円

節税額(NISA活用で得する額): 1,709,805円

月3万円を20年積み立てると、NISAを使うかどうかだけで約170万円の差が出る。何もしなくてもこの差が生まれるというのが長期投資の強さだし、「設定30分で170万円の差」という投資対効果は正直ちょっと異常だと思う。


短期投資が「向いている人」は本当に存在するか

ここは好み分かれるかもしれないし、正直まだ検証中の部分もある。

短期投資がうまくいく人の条件を3年見てきた感覚でまとめると、だいたい以下の3つが揃っているかどうかに集約される。

  1. 感情コントロールが異常に得意な人。損切りを感情なくできる人。これがエンジニアには難しい。ロジカルに考えるほど「この株は本来の価値がある、戻るはず」と思ってしまう。

  2. 市場を監視し続けられる環境がある人。専業か、それに近い環境。エンジニアが本業をやりながら短期売買で勝ち続けるのは構造的に難しい。

  3. 相場に完全に依存しない資産が別にある人。短期投資で失っても生活に影響しない余剰資金だけで動かせる人。

僕はどれも当てはまらなかった。特に2番目、コーディング中に含み損のことが頭をよぎるのは本当につらかった。あれはメンタルに悪い。

一方で、長期投資は「何もしないことが正解」という局面が多い。エンジニア気質的に「最適化したい」「もっとうまくやれるはず」と思ってしまうのは自然だけど、市場の暴落時に積立を止めないことが唯一のスキルみたいな世界観がある。

コロナショック時(2020年)のS&P500は一時-34%まで下落した。その後2021年末には過去最高値を更新している。積立を止めなかった人と止めた人でパフォーマンスに大きな差が出たのは有名な話だし、2022年のFRB利上げ局面でも同じことが起きた。「何もしない」のが正解、というのは頭ではわかっていても、実際に下落局面で動かずにいるのは思ったより難しい。

どちらを選ぶべきか迷っているなら、以下のフローを参考にしてほしい。

flowchart TD
    A[投資を始める] --> B{目的は何か?}
    B -->|老後資金・資産形成| C[長期投資 NISA/iDeCo]
    B -->|短期で増やしたい| D[短期投資を検討]
    C --> E[インデックスファンド選択]
    D --> F{以下の条件を満たすか?}
    F -->|YES| G[少額から短期売買]
    F -->|NO| H[長期投資に切り替えを推奨]
    E --> I[自動積立設定して放置]
    G --> J[損切りルールを厳守]
    I --> K[定期リバランス 年1回]
    J --> L{3ヶ月後の評価}
    L -->|利益が出ている| M[継続検討]
    L -->|損失が続く| H
    F1[感情コントロールが得意] --> F
    F2[市場監視できる時間がある] --> F
    F3[余剰資金のみで運用できる] --> F

このフローで「YES」が3つ揃う人はかなり少ないと思う。エンジニアの場合は特に。


2026年の新NISA運用、3年やってわかった「続ける仕組み」

投資の世界には「タイミングを見極めるより、時間を味方につけろ」という言葉があって、これは本当にそうだと思う。積立NISA5年やってみて、投資信託の選び方が根本的に変わった話でも触れられているけど、「何に投資するか」より「続けられる仕組みを作るか」が全てだと今は思ってる。

僕が実際に続けるために設定した仕組みはシンプルで:

1. 給与振込日の翌日(毎月25日)に自動積立が走るよう設定
2. 積立額は「生活に影響しない金額」に固定(月3万円)
3. 相場チェックは「月1回のリバランス確認」のみ
4. 暴落時は「絶対に積立を止めない」をルール化
5. 証券口座アプリをスマホのホーム画面から削除

5番目はマジで効いた。毎日チェックしないために、見える場所に置かない。エンジニアらしく言うなら「通知をオフにしてアクセス経路を断つ」だ。人間の意志力に依存する設計は壊れる、という発想はシステム設計と全く同じで、こういうところで職業病が役に立つとは思わなかった。

2026年現在の新NISA制度は2024年のリニューアルから変わっていないけど、各社の積立サービスの完成度が上がっていて、設定後の自動化がかなり楽になっている。

続けることでどれだけ差がつくか、運用年数と利率別に可視化してみた。

xychart-beta
  title "月3万円積立 運用年数別の資産推移(年利5%/7%)"
  x-axis ["5年", "10年", "15年", "20年", "25年", "30年"]
  y-axis "評価額(万円)" 0 --> 5600
  bar [204, 466, 803, 1274, 1913, 2799]
  line [209, 521, 978, 1641, 2588, 3927]

棒グラフが年利5%、折れ線が年利7%の想定。30年で差は約1100万円になる。年利2%の違いがこれだけ広がるのを見ると、「少しでも高リターンを狙いたい」という気持ちはわかるんだけど、それより「30年続けられるか」の方がはるかに支配的な変数だとわかる。


まとめ

3年間、長期投資と短期投資を両方やってきた結論は「エンジニアには長期投資×NISA・iDeCoが圧倒的に向いている」だ。

要点をまとめるとこうなる。

  1. 短期投資は本業への悪影響が大きい。コーディング中に相場が気になるのは生産性の敵で、3ヶ月の短期投資でそれを痛感した。

  2. NISAの非課税メリットは20年で約170万円。月3万円・年利7%・20年の試算で、特定口座と比較するとNISA活用だけでそれだけ差が出る。設定コストは30分、リターンは170万円という投資対効果は異常に高い。

  3. iDeCoは「節税」という確実な利益がある。運用益の不確かさと違い、掛金の所得控除は確実に税金を減らす。年収800万円前後で月2万3000円拠出すると年間約9万円の節税効果がある。

  4. 「続ける仕組み」を作ることが最大のスキル。証券口座アプリをホーム画面から消す、積立日を給与振込直後に設定するなど、人間の意志力に頼らない設計が長期投資を成功させる。

  5. 正直、短期投資が向いている人も存在する。ただしそれは感情コントロールが得意で、監視時間があり、余剰資金だけで動かせる人に限られる。

次のアクション:まず積立NISAとiDeCoの口座を開設して、月1万円だけ積立設定する。1万円から始めて「続ける習慣」を作るのが一番大事。つみたて投資3年やってわかった「設定より続ける仕組みが全て」だった話も合わせて読んでほしい。

皆さんは長期・短期どっちを試してますか?特に短期投資で「これはうまくいった」という経験がある人の話、正直聞いてみたい。

U

Untanbaby

ソフトウェアエンジニア|AWS / クラウドアーキテクチャ / DevOps

10年以上のIT実務経験をもとに、現場で使える技術情報を発信しています。 記事の誤りや改善点があればお問い合わせからお気軽にご連絡ください。

関連記事