水を飲むだけでコードが書けるようになった話——3年間の水分補給実験記録

「午後になると頭が動かない」って感じたことありませんか?コーヒーとエナジードリンクで乗り切っていたエンジニアが、水分補給を本気で見直したら仕事のパフォーマンスが変わった実測レポートです。

水分補給を真剣に見直したら仕事のパフォーマンスが変わった話【2026年実践記録】

先日、チームの後輩から「午後になると急にコードが書けなくなる」という相談を受けた。話を聞いていくと、彼は昼からほぼ水を飲んでいないことが判明した。コーヒー3杯とエナジードリンク1本だけ。思い当たる節があって、正直ちょっと笑えなかった。自分も3年前はまったく同じだったから。

そこから水分補給を「エンジニアリングの問題」として本格的に取り組み始めて、今年でほぼ3年になる。最初は「水を飲むだけで何が変わるんだ」と半信半疑だったけど、実測データを取り始めてからは認識が完全に変わった。


なぜエンジニアは水分が足りないのか

リモートワークが当たり前になって久しいけど、これが水分不足の温床になっているんですよね。オフィスにいれば給湯室やウォーターサーバーへ歩く自然な動線があった。リモートだとデスクに座りっぱなしで、気づいたら夕方まで飲み物に手を伸ばしていない、なんてことが普通に起きる。

しかも、僕たちエンジニアは集中しているときほど「喉の渇き」を無視しやすい。Flowに入ってしまうと体のシグナルに気づかなくなる。問題なのは、喉が渇いたと感じた時点では、すでに体重の1〜2%の脱水が起きているとされていること。

2025年末に発表されたNutrition and Cognitive Functionのメタ分析(欧州栄養学会誌)でも、体重比1.5%の脱水状態で短期記憶と注意力が有意に低下することが確認されている。1.5%ってどのくらいかというと、70kgの人で約1050ml。午後に水を飲み忘れるだけで余裕で達する量だ。

脱水率(体重比)主な症状
0.5%軽度の口渇感
1.0%集中力の低下が始まる
1.5%短期記憶・判断速度が低下
2.0%頭痛・疲労感が顕著に出る
3.0%身体パフォーマンスに明確な影響

コードレビューで判断ミスが増えたり、バグの原因特定に普段より時間がかかったりするとき、「疲れてるな」で片付けてしまいがちだけど、実は単純な脱水だったりする。これ、本当に見落とされがちなポイントだと思う。


自分が3ヶ月試した水分補給の実験

具体的に何をやったか書いておく。計測好きなエンジニアらしく、データを取りながら試行錯誤した。

フェーズ1:まず量を把握する(1ヶ月目)

最初の1ヶ月は「自分が1日どれくらい飲んでいるか」を記録するだけにした。結果、平均760mlだった。目標は体重×30〜35mlなので、自分(68kg)だと2000〜2380ml必要なところ、半分以下しか摂れていなかった。

PFCバランスの記事でも触れたけど、栄養管理は「知っている」と「計測している」の間に巨大な溝がある。水分も同じで、「まあ飲んでいるつもり」が一番危ない。

フェーズ2:スマートボトルを導入(2ヶ月目)

Hidrate SparkのWater Trackerシリーズ(2025年末モデル)を購入した。飲んだ量をBluetooth経由でHealthkitに自動同期してくれる。約8000円とちょっと高いが、これが地味に便利だった。

ビフォーアフター
1日平均摂取量760ml1,840ml

単純にボトルが目の前にあって光って通知してくれるだけで、水を飲む行動が変わる。意志の力に頼らず仕組みで解決するのはエンジニアらしいアプローチだと思っている。

エンジニアが運動習慣を続けるコツの記事でも書いたけど、習慣化は意志力ではなく環境設計で決まる。水分補給も例外じゃない。

フェーズ3:電解質サプリの検証(3ヶ月目)

ここが一番面白かった。単純に水を増やすだけじゃなく、電解質のバランスも重要だという話を栄養士の友人から聞いて検証してみた。

試したのは以下の4パターン。

パターン内容主観的な集中力(10段階)午後3時の眠気
水だけ(コントロール)2L/日6.2強め
経口補水液タイプOS-1 500ml/日 + 水1.5L7.1中程度
電解質タブレットLMNT 1袋/日 + 水2L7.8少なめ
電解質パウダー(国内品)アクアソリタ 1袋/日 + 水2L7.4中程度

主観評価なので参考程度だけど、個人的にはLMNTのナトリウム量が多めな配合が一番しっくりきた。ただ、コストが月2000〜3000円かかるのが難点で、正直毎日使うには少し高い。

週ごとの自覚的集中力スコアの推移はこんな感じ。変動が大きすぎてきれいなグラフにはならなかったけど、トレンドは明確に上向きだった。

xychart-beta
  title "水分摂取量と自覚的集中力スコアの推移(3ヶ月間)"
  x-axis [1週目, 2週目, 3週目, 4週目, 5週目, 6週目, 7週目, 8週目, 9週目, 10週目, 11週目, 12週目]
  y-axis "スコア" 0 --> 10
  bar [5.5, 5.8, 6.2, 6.4, 6.8, 7.0, 7.2, 7.5, 7.6, 7.8, 7.9, 8.1]
  line [5.5, 5.8, 6.2, 6.4, 6.8, 7.0, 7.2, 7.5, 7.6, 7.8, 7.9, 8.1]

2026年時点の「科学的水分補給」の最新知見

正直まだ個人実験レベルで全部検証し切れていないけど、今年に入ってから変わってきたと感じることを共有したい。

タイミングが量より重要という話

2025〜2026年にかけて複数の研究が示しているのが、「量よりも補給タイミング」の重要性だ。特に、集中作業前の30分に水分を摂取しておくことが、作業中のパフォーマンス低下を防ぐのに有効だとされている。

自分が実践しているのは以下のルーティン。

タイミング
朝起きたら即(空腹時)500ml
作業開始30分前300ml
昼食と一緒に300ml
午後のポモドーロ開始前200ml
夕食と一緒に300ml
就寝1時間前200ml
合計約1,800ml

これに運動した日や夏場はプラス500ml程度。ポモドーロテクニックとセットにすることで、25分ごとの休憩時間に自動的に飲む習慣がついた。これが地味に一番効いていると思う。

カフェイン飲料との関係

コーヒーが利尿作用を持つのは有名な話だけど、2024〜2025年の研究では「習慣的なコーヒー飲用者では利尿効果が有意に小さくなる」という結果が積み重なってきている。完全に相殺されるわけじゃないが、「コーヒーを飲んだら同量の水を飲め」という古いルールはやや過剰だったかもしれない。

ただ、エナジードリンクはまた別の話。カフェイン量が多く、砂糖や添加物の影響も加わるので、個人的には1日1本以内に抑えている。実際、エナジードリンクを2本飲んだ翌日は集中力の低下を感じることが多かった。

食事からの水分摂取

見落とされがちだけど、食事からも水分を摂取できる。腸活の記事でも書いたように、野菜や果物には70〜95%の水分が含まれている。1日3食きちんと食べていれば、食事から500〜700mlは摂れている計算になる。

つまり「飲み水として2L必要」ではなく、食事を含めた総摂取量として2〜2.5Lを目指すのが現実的な目標だ。

pie title 1日の水分摂取源の内訳(推奨値)
  "飲み水・飲料" : 55
  "食事からの水分" : 35
  "代謝水(体内生成)" : 10

職場環境別の水分補給戦略

在宅、オフィス、カフェでの作業ではそれぞれ環境が違うので、少しアプローチを変えている。

flowchart TD
    A[作業環境] --> B{どこで作業?}
    B --> C[在宅]
    B --> D[オフィス]
    B --> E[カフェ・コワーキング]
    
    C --> C1[デスクに1Lボトル常備]
    C1 --> C2[スマートボトルで量を管理]
    C2 --> C3[ポモドーロ休憩時に必ず飲む]
    
    D --> D1[ウォーターサーバー活用]
    D1 --> D2[朝イチで500mlのボトルを満タンに]
    D2 --> D3[会議前後を補給タイミングに設定]
    
    E --> E1[入店時に水を1本確保]
    E1 --> E2[ドリンクの種類をローテ]
    E2 --> E3[2時間ごとに水分確認]
    
    C3 --> F[1日の目標: 1800〜2200ml達成]
    D3 --> F
    E3 --> F

オフィスで一番効いたのは「朝イチでボトルを満タンにするルール」だった。これだけで午前中の摂取量が劇的に増えた。

カフェ作業のときは、飲み物を注文するたびに無料の水も一緒に頼むようにしている。コーヒーと水を交互に飲む感じ。これで自然とコーヒーの飲みすぎも防げるので一石二鳥だ。


注意したい落とし穴

水分補給にハマり始めると、今度は「飲みすぎ」に走る人も出てくる。実際、低ナトリウム血症(水中毒)は非常にまれだけど、極端に大量に飲むのは逆効果だ。

自分も1日4L以上を目標にしていた時期があったけど、むしろ体がだるくなった。目安として、一般的な成人で「体重(kg) × 30〜35ml」が適正範囲だと思っておけばいい。

また、運動後や夏場の大量発汗時に水だけ大量に飲むと電解質が薄まる。このときは前述の電解質タブレットや経口補水液が有効だ。ただし、OS-1などは本来医療用なので日常的に1日中飲み続けるものではない。あくまで発汗が多いときのリカバリーとして使うのが正しい使い方。

体感パフォーマンスと摂取量の関係を自己計測してみると、こんな逆U字型になった。少なすぎても多すぎてもダメ、というのが自分の実感だ。

xychart-beta
  title "摂取量別の体感パフォーマンス(自己評価, 5段階)"
  x-axis ["500ml以下", "800ml", "1200ml", "1600ml", "2000ml", "2400ml", "3000ml+"]
  y-axis "体感スコア" 0 --> 5
  bar [1.5, 2.0, 3.2, 4.1, 4.5, 4.2, 3.5]

まとめ

3年かけて水分補給を見直した結果、コードを書く上でのパフォーマンスに地味だけど確実な改善を感じた。「水を飲むだけ」と馬鹿にせず、一度ちゃんと向き合う価値はあると思っている。

要点をまとめると:

  1. まず計測から始める — スマートボトルやアプリで実際の摂取量を把握する。「たぶん飲んでる」は信用できない
  2. 目標は「体重×30〜35ml」が基準 — 食事からの水分も含めた総摂取量で考える
  3. タイミングが重要 — 集中作業前30分に飲む習慣が、午後のパフォーマンス低下を防ぐ
  4. 電解質を意識する — 夏場や運動後は水だけでなく塩分・カリウムの補充も検討
  5. 仕組みで解決する — 意志力に頼らず、デスクにボトルを置く・ポモドーロ休憩と連動させるなど環境設計で自動化する

今日の残業中に、自分が実際に何ml飲んだか計測してみてほしい。思ったより少なかったら、まずデスクに500mlのボトルを置くことから始めればいい。特別なサプリも何も要らない。ボトルを置くだけで行動は変わる。

筋トレを続けるための仕組み化についてはこちらも合わせて読んでみてください。健康管理全般を「エンジニアリングの問題」として捉えると、かなり面白いアプローチが取れると思っています。

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Untanbaby

ソフトウェアエンジニア|AWS / クラウドアーキテクチャ / DevOps

10年以上のIT実務経験をもとに、現場で使える技術情報を発信しています。 記事の誤りや改善点があればお問い合わせからお気軽にご連絡ください。

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